それは金魚にとってひとつの大きな冒険です。
しかし金魚は希望にあふれる瞳で言いました。
僕の体は、かわくことがない。僕は魚だからね。
だけど
冒険したいっていう気持ちを忘れたら、
きっと心はかわいてしまう。
だから僕は海に出たいんだ。
大空を飛びたいと夢みたからこそ、カモメは空を飛んでいる。
大地をかけたいと夢みたからこそ、ライオンは草原を走っている。
きっとカモメもライオンも、最初からそこにいたんんじゃなく、
冒険の果てに自分の夢をつかんだんだ。
大きな海で泳いでみたい。
そう強く願えばきっと僕にも不可能じゃない。
自分の命すら犠牲にしかねない金魚の言葉に、
皆は口々に反対します。
ここにいれば、敵もいないし、食べ物もある。
それに本来、金魚は海を泳げない。
そんな無謀な冒険は、必ず失敗するだろう。
その言葉に金魚は首を横にふり、
それに!と金魚は微笑んで、
もし海を泳ぐことができたら、きっと楽しくて余計なことなんて
考えられない。
いやなことや、つらいことや、かなしいことも。
冒険は黄金以上の価値がある。
黄金以上の価値のある冒険を
僕はしてみたい。
映画『海の金魚』より